『論語 素読撰』

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 およそ二千五百年の昔に生まれた『論語』は、人類が持つ至宝の名著に挙げられる。学めば学ぶ程、習えば習う程に、現代においても新鮮な知恵を与えてくれる。素読を推奨する所以である。細かい部分に気を取られることなく、素読を重ねるうちに、はたと思い当たる、それが論語素読の魅力であろう。

 かつて、幼少の子弟は、『論語』の素読から始めるという教育を受けた。その場合、言葉の意味を理解する事は将来に延ばし、文章を音として記憶したものと思う。そのようにして記憶した短文は、成長後に折にふれて脳裏によみがえるものである。

 「述而不作」(論語 一四九)は孔子の謙譲であろうが、後世の「儒」の基本姿勢ともなる。ところが、高名な儒者が著した数々の論語注釈書は、編者の如き初心の者にはあまりに敷居が高すぎる。見易く利用しやすい形の素読用テキストがあってほしいという自らの願望のもとに電子本の形にまとめたものが、本テキストである。

本書は『論語』500篇余の中から451篇を撰び、素読を主たる目的として並べた(第1章)。論語中に表れる31(過、楽、学、神、義、君子、言、孝弟、詩、恕、顔色、女色、食、信、仁、善等)のキーワード別に、抜き書きを集めるなどして、学ぶ助けとした(第2章、第3章)。