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2014年6月、夏目漱石の手紙と俳句が新たに発見されたと報道された。明治29年4月に、松山から熊本に転任する時に、松山中学の同僚宛に出した手紙と俳句2首である。俳句は、漱石の結婚問題の破局に関して非常に興味ある内容を示唆しているので、ここにとりあげる。結婚問題の破局とほぼ同時期に漱石自身が心境を書き記した新資料として重要であろう。
何故、これらのキーワードが興味深いのか。それは、この手紙を書いた日からおよそ一年半前の明治27年10月に漱石の身の上に起った結婚問題破局時に体験した大事件と直接に関係する言葉だからである。第一に、その大事件のさなかに自分が死にそこなった事を、一年半後に「死にもせで」と表現している。第二に、大事件直後に占師が漱石に語った「貴方は西へ西へと行く相がある」という言葉を、いささか自嘲気味だが鮮明に記憶していたことが推測される。俳句全体の印象から、占師の言葉が、漱石の「西へ行く」行動の指針となっていた事も窺われる。この時期の漱石年譜は以下の通り。
2008年『謎解き若き漱石の秘恋』(アーカイブス出版)、2013年『漱石の百年の恋』(iBooks Store)の中で、筆者は明治27年の夏から秋に生じた夏目漱石がかかわる恋愛事件を解明している。その中から、ここに引用した俳句中のキーワードに関連する部分を簡単に紹介する。
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2014年6月25日
著者:加藤湖山
e-mail: kozan27ho@gmail.com
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