『老三本「太極拳 拳論」を読む』:Apple Books Storeにて電子出版:2023年3月
Apple Books Store の『老三本「太極拳 拳論」を読む』を見てみる: Available on Apple Books
2023年3月 version 1.0 公開
十九世紀後半に、太極拳の理論は清の武禹襄と李亦畲によって研究・構築された。李亦畲は、二人の研究成果を三本の抄本にまとめて後世に残した。これが「老三本」と呼ばれる抄本(「自蔵本」、「啓軒本」、「郝和本」)である。この中で、抄本としての完全な形で既に公開されているのは「郝和本」だけであり、「啓軒本」は文化大革命の際に散逸したと云われ、「自蔵本」は表紙だけが公表されている。幸いにも「啓軒本」は、李亦畲の弟(李啓軒)の孫である李福蔭の編集によって一九二九年(油印「簾譲堂太極拳譜」)と一九三五年(「李氏太極拳譜」)に公表されている。これらは「李福蔭本」と呼ばれる。本書では、「老三本」の中から主要な拳論を取り上げて、若干の解説を付与した。武禹襄と李亦畲は、王宗岳の作と伝えられる「拳譜」を出発点として、長年の研鑽を経て太極拳の拳論を集成して完成させた。その功や大と云える。
目次
まえがき
第1章 王宗岳の太極拳論
1・1 王宗岳「太極拳論」を理解する為に必要な諸知識
1・2 王宗岳の「太極拳論」を読む
1・3 筆者の感想:「太極拳論」の合理的な側面について
1・4 「太極拳論」の冒頭部分「太極者無極而生。動静之機、陰陽之母也。」の検討
1・5 「太極拳論」の冒頭部分「太極者。無極而生。」の読み方について
1・6 易経の中に見られる太極の記述
1・7 易経の中の陰陽と、象るということ
1・8 『太極図説』の紹介
1・9 筆者の夢想
1・9・1 太極両儀八卦を現代物理学でなぞってみる
1・9・2 参考になるかもしれない現代物理学の考え方
1・9・3 波動・振動と解釈の拡張
1・10 王宗岳「太極拳論」等の異種バージョンについて
第2章 李亦畲「太極拳釈名」と易
2・1 「太極拳釈名」に関する三つの抄本
2・2 易から見た「十三勢」と「太極拳釈名」
2・3 易から見た方位図上の並びの解釈:李亦畲の「これ技なり、一着一勢、ことごとく陰陽を外れず」の内容を探る
2・4 太極拳釈名の異種バージョン
第3章 王宗岳「太極拳論」等の異種バージョンの誤謬の顛末
3・1 王宗岳「太極拳論」・李亦畲「太極拳釈名」の異種バージョンについてのまとめ
3・2 王宗岳「太極拳論」等の異種バージョンの誤謬の顛末
3・3 李亦畲「太極拳釈名(十三勢)」の異種バージョンの補足
第4章 「十三勢行功歌」を読む
第5章 武禹襄「太極拳解」を読む
第6章 武禹襄「十三勢説略」を読む
第7章 「打手歌」を読む
あとがき
参考文献
- 本書に関するご意見質問等はメイルしてくだされば有難く存じます。
著者:加藤湖山
e-mail: kozan27ho@gmail.com
Copyright (C) 2021- K. Kato, All rights reserved.